目の前に、きらきらとした稲妻のような光が見える閃輝(せんき)性暗点。片頭痛の前兆として知られているが、慶応義塾大学病院(東京都)眼科の大出尚郎医師は「脳循環障害が原因で起こる場合があるので注意を」と警告する。
● 脳の血管がけいれん
閃輝性暗点は、目の前に稲妻のような光が見え、引き続いて物がゆがんで見えたり、目の前が真っ暗になったりする。大抵は両目同時に起こり、20分ほど続く。片頭痛では、閃輝性暗点の症状が治まった後、引き続いて頭の片側にずきずきした痛みが生じる。
これは、物を見る中枢(視中枢)がある後頭葉(脳の後ろの部分)に血液を送っている血管が、けいれんを起こし、血流が減少するために起こる。けいれんが治まって血管が開くと、血液が大量に流れ込むが、これによって頭痛が起きる。
片頭痛は、10代から30代の若い年齢層に多く、1週間に1回とか数カ月に1回とか、定期的に起こる場合が多い。
片頭痛は、閃輝性暗点が起こった後、血管収縮作用のある薬を服用すると予防できる。閃輝性暗点そのものを予防するには、逆に血管拡張作用のある薬を使うが、毎日服用しなければならず、吐き気や目まいなどの副作用があるので、予防のために薬を用いるのが、必ずしもいいとは言えない。
● 脳腫瘍でも起こる
片頭痛は、本人はつらいが、生命に危険を及ぼすような病気ではない。ただ、中高年で、閃輝性暗点だけあって、その後に頭痛を伴わないような場合は、要注意だ。血栓による一過性の脳循環障害が原因である可能性があるからだ。動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症、不整脈など、血栓を起こす危険因子がないかどうか、全身の検査を受けるとよい。
また、まれに年齢とは関係なく脳動静脈奇形や脳腫瘍(しゅよう)などで起こることもあるので、コンピューター断層撮影法(CT)や核磁気共鳴映像法(MRI)による精密検査を受ける必要もある。
大出医師は「閃輝性暗点が起こったら、眼科と内科あるいは神経内科のある総合病院で受診するといいでしょう」と助言している。