● 口の粘膜を保護
口の中には、耳下、舌下、顎(がく)下に左右一対ずつ、大きなだ液腺があるほか、ごく小さなだ液腺が、口唇、舌、口蓋(こうがい)、ほおなどに無数にある。成人の場合、食べ物などの刺激がないときで、口の中に常にたまっている量は約1ミリリットル。1日当たり700−800ミリリットルが、だ液腺の管から口の中に注がれている。
だ液の99.5%は水分、残りの0.5%には無機物と有機物が半分ずつ含まれ、口の粘膜を滑らかに保湿し、保護している。
「水分が多く、歯で食べ物をかんでのみ込むことや、発音、入れ歯の付き具合などにかかわる働きをします」と阿部教授。
だ液はまた、口の中の酸性度を一定に保ち、甘い、塩辛い、酸っぱい、苦いといった味の成分濃度を調整し、舌表面の味蕾(みらい)で味が感じられるようにしている。
● 薬剤で減る場合も
抗菌作用もある。リゾチームという、たんぱく質を分解して細菌を攻撃する酵素や、多数の抗菌因子が含まれて複合体を形成し、虫歯菌など病原菌を殺し、あるいは洗い流している。だ液の分泌量が少ないと、虫歯や歯周病、口内炎になりやすい。薬物や過度のストレスなどが原因で極端に少ないと、口腔(こうくう)乾燥症になる。
口腔乾燥症の主な症状は、食べ物がのみ込めない、食欲がない、舌がもつれるなど。歯の少ない高齢者に多いが、軟らかい食べ物が多くなった影響などで、最近は子供にも見られる。
同教授は「食事のときに水が欲しくなると、要注意です。昔ながらの歯応えのある食材を料理に使うなどして、かむ習慣を身に付けてください」と話している。