高齢社会を背景に、パーキンソン病に悩む人は全国で12万人以上といわれるほど多い。その治療の基本は薬物療法と運動療法。ともすれば薬に頼って運動を怠りがちだが、筋肉や関節の働きを良くするには、日常の運動が欠かせない。
● 体が動く人が対象
パーキンソン病は、脳内のドーパミンという神経伝達物質が欠乏して運動障害を起こす病気。典型例では背が丸くなり、よちよち歩きといった症状を呈する。現在のところ、なぜドーパミンが欠乏するのか分かっておらず、治療はドーパミンを補充する薬物療法と運動療法が基本だ。これらは車の両輪だが、軽視されがちなのが運動。
日本赤十字社医療センター(東京都)リハビリテーション科の中條和宏係長は「進行性の病気なので不安が先行しがちですが、根気よく管理していくことが大切です。筋肉の衰えを防ぎ、関節の動きを維持するには、薬物療法だけでなく、運動が欠かせません」と言う。
そこで、考案されたのがパーキンソン体操。体が動く人が対象で、病気によって偏ってしまう体の動きを防ぐため、全身を満遍なく使うように考えられている。
● 毎日楽しく、継続を
中條係長が同科で行っているパーキンソン体操は、代表的なものだけでも15種類あるが、同係長はまず、息を吐きながら両腕をおなかの辺りで交差させ、次いで、息を吸いながら両腕を広げて上げる運動を勧める。「この運動は全身を使い、呼吸器の働きも良くします。また、パーキンソン病の患者さんはどうしても背中が丸くなってくるので、うつぶせに寝て左右の腕を交互に前上方に伸ばす運動も効果的です」
運動は、自分の体力に合わせて行う。例えば、息を吐く・吸う運動なら立てない人は座ったままで行うとよい。体が動く人では、腕を交互に伸ばす運動の際、伸ばした腕の反対側の脚も上げる。
「運動は毎日、楽しく行い、長く続けることが大切です。パーキンソン体操だけでなく、自分の好きな踊りやスポーツなどもやるといいでしょう」
時には、後ろ歩きや横歩きを試みるのもよい。パーキンソン病と上手に付き合うには、日常生活に運動を組み込むことが大切だ。