【がん】

大腸がんの内視鏡療法

おなかを切らずにがんを切除
−早期でリンパ節転移なしが原則−



 大腸がんが増えているが、診断技術や治療法の進歩によって、5年生存率は向上している。初期段階で発見された場合は、ほぼ百パーセント治る。それも、おなかを切らずに、内視鏡で治療できる。

● 肛門から挿入

 大腸がんの治療法はがんの深さによって異なるが、早期がんの中でも、大腸粘膜にとどまっている場合に適用されるのが、内視鏡的粘膜切除術だ。
 東京医科歯科大学医学部の杉原健一教授(消化機能再建学)は「大腸粘膜にとどまっている早期のがんは、ほぼ百パーセント、リンパ節への転移がないので、この治療法でがんの部分を切り取るだけで、治癒が期待できるのです」と言う。
 具体的には、肛門(こうもん)から内視鏡を挿入し、粘膜からキノコ状に飛び出したがんの周囲にワイヤを掛けて、高周波電流によって焼き切る。平らながんもあり、その場合は、がんと粘膜の間に生理食塩水を注入し、がん組織を隆起させてから、ワイヤで焼き切る。
 「病院によって異なりますが、この治療は日帰りでも行えます。ただし、切除後の出血が予想されたり、他の疾患を合併したりしているようなケースでは、念のため2、3日入院します」

● 検査で早期発見を

 内視鏡的粘膜切除術は、大腸がんの大きさが2−2.5センチまでが対象になる。がんの発生部位によっては行えないこともあるが、メリットは大きいだけに、早期発見を心掛けたい。
 「会社などの健康診断で、『便潜血反応が陽性』と指摘されたときは、内視鏡検査を受けるべきです。自営業の人なら、40歳以降、1、2年に1回は内科か外科で定期的に便潜血反応の検査を受けた方がいいでしょう」
 特に、家族で大腸がんになった人がいる場合は、本人も大腸がんになる可能性があるので、検査を積極的に受けた方がよい。それも、2年に1回は定期的に内視鏡検査を受けることが望ましい。
 こうしたことを心掛けるとともに、食生活では生活習慣病の予防の意味でも、食物繊維を多く取るよう、杉原教授は勧めている。