【がん】


年に5万人が死亡する肺がん


50歳以上の喫煙者は要注意
−症状がなくても検診を−


  肺がんによる死亡者は、胃ガンを上回って1位になって以来、年間に5万人を超えている。「50歳を過ぎると、肺がんになる危険年齢です。特に喫煙者はリスクが高いので、定期検診を受けてほしい」と、癌(がん)研究会付属病院(東京都)呼吸器外科の中川健部長は早期発見を促している。

● I 期なら5年生存率約90%

 肺がんは、進行状態によって I−IV 期に大別される。

I 期=
II 期=
III 期=

IV 期=
がんが肺の中にとどまっている。
がんが肺の中にとどまっているが、入り口まで及んでいる。
がんが肺を破って周りの臓器に及んでいる、またはリンパ節転移が縦隔リンパ節(左右の肺の間)まで及んでいる。
がんが肺から遠い臓器まで転移している。

 「治療は、病期によって異なりますが、手術が可能なのは I期から III 期の軽いケースまでで、早ければ早いほど治療成績はいいのです」と中川部長。
 同付属病院での過去10年間の手術後の5年生存率は、I 期で87%、II 期では61%、III 期では39%に低下している。手術ができない IV 期の場合は、放射線治療や抗がん剤が用いられる。
 「 I 期でも、がんの大きさが直径3センチ以下なら、術後5年生存率は94%と高くなっています。このため、なにより早期発見を心掛けるべきです」

●非喫煙者も発症

 がんは総じて、症状が表れにくいが、肺がんの場合は、発生部位によって異なる。
 「肺の入り口近くにできる中心型肺がんの場合は、せき、たん、血たんなどの症状が早期から表れます。しかし、肺の末しょう部にできる末しょう型肺がんの場合は、初期には症状はなく、肺がんの9割前後がこのタイプなのです。症状を自覚したときは当然受診すべきですが、症状がなくても定期検診を受けることが、早期発見につながります。
 中心型肺がんは喫煙と大きな関係があるが、末しょう型肺がんは非喫煙者にも起きる。両方とも、50歳以降から増え、高齢になるほど発生率は高くなる。
 「50歳以降は、年1回は呼吸器科か内科でレントゲン検査を受けるといいでしょう。喫煙者の場合は、それに加えて喀痰(かくたん)細胞診を受けてください」  喀痰細胞診は、たんの中にがん細胞が混じっていないかを調べる検査。また、レントゲン検査よりもCT(コンピューター断層撮影)検査の方が精度は高いが、費用がかさむ。いずれの検診も実費なので、医師とよく相談して選ぶとよい。