お年寄りや小さな子供は、何かの拍子に物をのどに詰まらせ不測の事態を招くことがある。呼吸ができなくなって倒れたら一刻も早く救急車を呼び、また詰まったものは吐き出させるように。

●脈の有無確認を

 毎年正月には、もちをのどに詰まらせるお年寄りの窒息事故が起こる。物を飲み込む力が弱いお年寄りは、もちや肉、パンなど大きな塊をのどの奥に詰まらせる。そのため空気の通る道(気道)がふさがれ、呼吸ができなくなって窒息死してしまうことがある。
 気道が完全にふさがった場合、胸やのどをかきむしるようにして苦しむ。当初は顔面が紅潮するが、次第に青ざめ、声は出せず、意識がなくなってしまう。1、2分で心臓も止まる。心臓と呼吸の両方が停止するとそのままでは死に至る。蘇生(そせい)マッサージにより5分以内に回復しないと、助かったとしても脳に大きな障害を残してしまう。
 このように息が完全に詰まった場合、極めて危険なのですぐに救急車を呼ぶこと。また救急車を待つ間、詰まったものを吐き出させることが重要だ。
 その際、次のような応急手当をする。
(1)
まず、心肺停止の有無の確認だ。けい動脈か足の付け根で脈を診て、弱くなていたら胸骨の中ほどを両手で重ねて1分間に70〜80回強く押す心臓マッサージを行う。口で口に息を吹き込むマウスツーマウスなどの人工呼吸も必要だが、完全閉そくの時は遺物除去を優先させる。
(2) 遺物除去には「胸壁圧迫法」が実行しやすく効果的。相手をあおむけあるいはうつぶせに寝かせ、胸の下部を両手で勢いよく押して、肺にたまっている空気で異物を押し出す方法だ。一度でうまくいかなかったら2、3度試みること。
(3) 口の中の異物や吐き出したものは、顔を横に向けさせ口を開いてかき出す。指にハンカチを巻いて行うと取り出しやすい。

●背中をたたいて

 せきをしていたりゼーゼー言っている場合には、気道は完全にはふさがっていない。前かがみにさせ、肩甲骨の間を手のひらで強めにたたいて詰まっているものを吐き出させるといい。それでも吐き出せず、ひどく苦しそうにしていたら救急車を呼ぶ。
 気管に異物が入ると、普通はせきやたんといっしょに吐き出されるが、その力が弱くて異物が気管よりさらに奥に落ち込んだ場合は、肺炎を起こすことがあるので、その後の症状に気をつけたい。
 お年寄りが食べ物といっしょに入れ歯をのみ込んでしまうケースもあるが、危険なのは入れ歯のブリッジだ。食堂から大腸までの間に引っかかって傷つけたり、炎症を引き起こす可能性が高い。場合によっては摘出手術をしなければならないこともある。入れ歯の人は要注意だ。