胸の急な痛みというと、狭心症や心筋こうそくを思いがちだが、そのほかにも大動脈や肺の病気などいろいろな場合がある。症状は軽くても重い病気の場合があるので、なるべく早く専門医にかかることだ。
●勘違いで手遅れも
胸の急な痛みは心臓や心臓を包む心膜の病気、胸の大動脈の病気、肺や肺を包む胸膜の病気などいろいろな病気によって引き起こされる。その中でも重症の狭心症、心筋こうそく、解離性大動脈りゅう、大動脈りゅうの切迫破裂、肺こうそくなどは、一刻も早く救急車を呼んで心臓を専門とする医療機関にかかる必要がある。生命の危険があるので、できれば心疾患集中治療室(CCU)のある施設がいい。
心臓の筋肉に血液を送る血流が狭心症では一時的に著しく不足して起き、心筋こうそくはその血流が止まり、心臓の筋肉が部分的に死んでしまったものだ。
狭心症の痛みは大抵、胸を圧迫され、締めつけられるように胸の真ん中から左側が痛み、のどから左肩、左腕にかけても痛みが広がる。これが2、3分から長くて15分ほど続く。
狭心症のうち、冷たい空気やストレス、運動をきっかけとして起こる安定狭心症や、安静時や睡眠中に起こるものは命の危険はない。しかし、心筋こうそくになりがちな重唱の狭心症もあるから軽く考えることはできない。
心筋こうそくの痛みは、よく「死ぬかと思うような」とか「強く圧迫されたような」「焼け火ばしで胸を引っかき回されたような」と表現される。胸の中央から左胸にかけて広い範囲で痛み、しばしばのどから左肩、左腕にも痛みが広がり、30分から、2、3時間続くことが多い。
ただ、中には胃やのど、あごが痛むだけの心筋こうそくもあり、勘違いしてこれを和らげようと入浴や体操をしたり、病院へ行ってもほかの科で受診して手遅れになるケースもあるので要注意だ。
●心肺そ生術覚えて
解離性大動脈りゅうは、心臓から全身に血液を送る大動脈の血管壁が裂けたもので、その痛みは最も激しいといわれる。胸の真ん中あるいは背中で激しく痛み、痛みは下のほうへ移動する。2、3時間以上、時には2、3日間続くこともある。
大動脈りゅう切迫破裂は、大動脈にできた血管のこぶのようなものが急に膨らんで起きたもので、背中に激痛があることが多い。
肺こうそくは肺への血流が止まって肺の組織が死んだもので、胸のわきが鋭く刺すように30分以上痛む。息苦しさを伴い、せきや深呼吸で痛みが強くなることが多い。寝たきりの人やふだんから長時間座っている人に起こりやすい。
胸痛の場合、症状が強いから重症、軽いから軽症であるとは言えない。胸痛があれば、重大な病気が隠れていることもあるので、なるべく早く循環器科など心臓の専門医にかかってほしい。
また、患者が意識がなくなったり脈が感じられない、呼吸が止まったといった時には、人工呼吸や心臓マッサージができるかできないかが命の境目になる。だれもが心肺そ生術の講習会を受けておく必要がある。