頭を打ったことで、慢性硬膜下血腫(しゅ)が起きることがある。脳の静脈から出血し、脳の硬膜の下に血がたまる病気で、これに伴い頭痛も生じる。この病気の頭痛は激しくはないが、早く手術しないと命にかかわることもあるので注意したい。

●症状は打撲から2週間後

 慢性硬膜下血腫は、高齢者に多い。お年寄りが頭をぶつけた後、何となく頭が重いとか、頭が重く足がまひしてスリッパが脱げやすくなったという場合や、急に話の内容がおかしくなった場合などが、この病気の兆候で、このようなお年寄りは、CT(コンピューター断層撮影法)検査によって血腫が発見される例が多い。
 慢性硬膜下血腫は、打撲(外傷)から2週間以上たってから症状が出てくる。
 打撲が引き金となり、脳の硬膜(頭がい骨のすぐ下の脳を包む膜)と脳の表面をつなぐ静脈が引っ張られて破れ、出血するために起こる。血液は塊(血腫)となって、硬膜の下にたまる。高齢者に特に多いのは、脳が萎縮していて、頭がい骨内で動きやすく、打撲によって静脈が引っ張られやすいためと考えられている。
 高齢者の場合、打撲そのものを覚えていない人も、2〜3割いると言われる。

●局所麻酔で手術

 治療は手術を行う。頭がい骨に直径1センチほどの穴を開け、管を入れて、1〜2日血が出てくるのを待つ方法か、または、直径2ミリぐらいの穴を開け、注射器で血を吸い取る方法で行われる。両方とも局所麻酔で手術を行い、入院は1週間から10日程度だ。手術によって症状が消え、血腫は、小さくなれば、自然の治癒力で次第に周囲の組織に吸収され、なくなってしまう。しかし、5〜10%の割合で再手術もあり得る。
 慢性硬膜下血腫は、CTによって発見が容易になったが、治療が遅れると、意識障害を起こし、死に至こともある。頭を打った後に頭痛がしつこく続いたり、急にまひやぼけ症状が起きたりしたときは、緊急入院しなければならない。周囲の人は注意してほしい。