頭痛の中で案外見逃されているのが、頸(けい)部つまり首周辺に原因がある頭痛だ。頸部に原因がある頭痛は、いろいろなメカニズムが組み合わさって起こることが多く、複雑な症状を見せる。

●筋肉が収縮

 頸骨(首の骨)は、7つの椎(つい)骨が積み木のように重なっており、首の筋肉に支えられて、前に出っ張った状態を保っている。重い頭を支えて、広範囲に曲げたり伸ばしたりするので、何かの拍子にバランスを崩すことがある。
 そんな場合、筋肉が緊張し過ぎて、循環不全(血液がうまく流れないこと)が起き、乳酸などの痛みを起こす物質がたまって、痛みが生じる。そうなると、さらに筋肉が収縮し、新たな循環不全が起きる。
 筋肉の収縮は、精神的ストレスによっても起こる。心身両面から循環不全を起こすと、痛みはなかなか消えない。
 何かの拍子とは、身体面では自動車の追突事故によるむち打ち症が代表的。また、コンピューター作業などで首に負担を掛け過ぎても、頭痛が起こる可能性がある。
 むち打ち症の場合、頸椎にねんざが起こり、その痛みが筋肉の収縮を引き起こすほか、いつ回復するのか分からない、という不安感も精神的ストレスとなる。むち打ち症の頭痛は、主にこうした筋肉の緊張によって起こる筋緊張性頭痛だ。

●加齢で頸椎が変形

 加齢に伴い、頸椎が変形して、椎骨動脈や交感神経を圧迫するような場合は、頭痛だけでなく、肩凝りや目まい、吐き気、眼底の痛み、脱力感など、さまざまな症状が起こる。
 このほか、頸椎から頭部に通じる知覚神経が、首の筋肉の間を通る過程で、筋肉の緊張によって締め付けられるため、頭の後ろから頂点にかけて痛みを感じることもある。
 むち打ち症による頭痛は、筋肉の緊張によるものだけでなく、これらのメカニズムも組み合わさって起きている。
 治療の基本は、痛みの悪循環を断つこと。消炎鎮痛剤や筋弛緩(しかん)薬、精神安定剤などの薬物療法のほか、患部の安静とリラックスのための理学療法、神経ブロックなどが行われる。
 むち打ち症の場合は、不安感や被害者意識など精神的ストレスを取り除くことが最も大事になる。