〔ロンドン〕スウェーデンスポーツ・保健科学大学(スウェーデン・ストックホルム)内科のElin Ekblom-Bak博士らは,坐位の状態で長時間過ごすと健康に悪い影響を及ぼすため,定期的な運動不足よりもむしろ日々活動しないことで引き起こされる害に注目すべきだとBritish Journal of Sports Medicine の論評(2010; オンライン版)に発表した。
座ったままでは筋肉が無活動
Ekblom-Bak博士らは「“座ったままでいる”状態は運動しないことを意味するが,より正確には“筋肉の無活動”を表す」と述べている。
最近の研究によって長時間座ったままで全身の筋肉運動が不足すると,たとえ中等度~強度の運動を行ったとしても,肥満,糖尿病,心疾患,がん,および全死亡のリスクの上昇と強く関連することが指摘されている。
また,オーストラリアの研究から,中等度の運動を行っているにもかかわらず,女性がTVの前に座っている時間が1時間増えるごとに,糖尿病や心血管疾患の前兆であるメタボリックシンドロームのリスクが26%上昇することが示されている。
既に運動不足の人の場合,常に座ったままでいると,健康に対する悪影響はさらに大きいこともわかっている。
同博士らによると,これまでの研究から,常時,坐位でいることと不健康との関連性において,酵素の1つであるリポ蛋白リパーゼが主要な血中脂質の調節に重要な役割を果たしていることがわかっているという。
活動レベルを保つよう奨励する
そこで,Ekblom-Bak博士らは,坐位のまま筋肉が無活動の状態は独立して不健康リスクを上昇させ,健康に悪影響を及ぼすという考え方を示している。常に座ったままでいることがもたらす結果は,運動不足がもたらす結果と同一ではないとされる。
同博士らは「長時間,坐位でいるために引き起こされる身体の分子的および生理学的反応は,運動をすることで単純に相殺することはできない」と指摘している。
同博士らは「将来的には,ガイドラインで運動を奨励したり,臨床診療のなかで運動のアドバイスを行っていくことが重要となる。また,日々,断続的に活動レベルを保つよう奨励することも必要だ。例えば,エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を上ること,座ったままの作業中に5分間の体を動かす休憩を入れること,または車を使わず歩いて買い物に行くことなどが,運動と同様に重要となるだろう」と述べている。
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