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過酷な競争教育で中国の小学生に強いストレス
[ 2010年3月4日号]

3人に1人が頭痛や腹痛を報告

〔ロンドン〕 インペリアルカレッジ(ロンドン)国際保健発達センターのTherese M. Hesketh教授らは,「中国では過酷な競争教育により小学生の多くが強いストレスを感じ,3人に1人が頭痛や腹痛などのストレス特有の心身症状を週に1回以上経験している」とArchives of Childhood Disease(2010; オンライン版)に発表した。同教授らは,今後,中国の若者に精神的問題が増加することを懸念している。

経済発展が親の期待を高める

 今回の研究は,中国の東部沿岸に位置する比較的裕福な浙江省(人口4,800万人)の都市と農村の9~12歳の小学生2,000人超を対象に行われた。
 Hesketh教授らは,小学生に対し,過去1年以内に頭痛や腹痛を経験した頻度を質問した。なお,頭痛と腹痛は小児にストレスや不安があるときに最も誘発されやすい心身症状である。
 また,学校に起因するストレスのレベルを測定するため,(1)学校が楽しいか(2)試験が不安か(3)成績でプレッシャーを感じるか(4)宿題を終えることは困難か(5)先生の罰が怖いか(6)学校でいじめを受けるか(7)家庭で親にたたかれるか―などを質問した。
 同教授らは,中国の教育制度は非常に競争が激しく,頻繁な試験,順位付け,大量の宿題が小学校から始まるうえに,学習成績を非常に重視し,失敗に対する許容度は低いと指摘している。
 中国の急速な経済発展と一人っ子政策により,子供の将来の収入に対する親の期待が高まり,親には望めなかった教育の機会が増えたために,競争教育はより過酷になった。
 質問に対する回答から,居住地域,性にかかわらず,多くの小学生が多様なストレスを感じていることが明らかにされた。「学校が楽しいことはほとんどない」と回答した小学生は5人に1人(19%)で,ほとんどの小学生(78%)が「よい成績を取らなければならない」というプレッシャーを常に感じており,81%が「試験が非常に不安」と感じていた。「先生の罰が怖い」は約3分の2(63%),「常にか,しばしば宿題を終えることが難しい」は4人に1人であった。

長期的な精神的影響を懸念

 小学生の約半数(44%)は「時々もしくは常に学校で身体的ないじめを受ける」と回答し,このいじめの報告は男子に多かった。「親にたたかれる」と回答したのは4人に3人(73%)にのぼった。
 小学生の3分の1超が頻繁に頭痛,腹痛を経験し,「週に1回以上頭痛を経験する」と回答した小学生は37%,「週に1回以上腹痛を経験する」は36%であった。心身症状はストレスと関連しており,ストレスレベルが最も高いと判定された8%では,最も低い小学生と比べて,心身症状を経験する割合が4倍高かった。
 Hesketh教授らは「非常に競争的でプレッシャーが高い教育環境は,中国の小学生が今回報告した強いストレスの1つの要因と考えられる。小学生時代は学力だけでなく心身も養育する期間と考えられており,心身への影響が懸念される。また,中国以外の国における多くの研究により,感情と行動に深刻な問題が認められた小児は,思春期と成人期に精神的問題が継続することが多いとの報告もあり,ストレスの短期的な悪影響だけでなく,長期的な影響も懸念される」と結論付けている。

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