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肥満なら心血管疾患リスクは増大/メタボリックシンドローム非該当者
[ 2010年2月18日号]

〔米テキサス州ダラス〕 ウプサラ大学病院(スウェーデン・ウプサラ)心血管疫学のJohan Ärnlöv准教授らは,肥満や過体重の中年男性ではメタボリックシンドロームに該当しなくても心筋梗塞,脳卒中,若年死のリスクが高いとする研究結果をCirculation(2010; 121: 230-236)に発表した。

長期追跡が重要

 Ärnlöv准教授は「これまでの研究で,肥満でも“代謝面で健康”であり心血管リスクが高くない亜群が存在することが示されていたが,そうした集団を長期に追跡すると,代謝面で健康な肥満者など存在しないことがわかる」と述べている。
 メタボリックシンドロームは心疾患や糖尿病発症の危険因子の集積であり,肥満やメタボリックシンドロームの心疾患リスクを検討したこれまでの研究では,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者は高リスク群とされていなかった。しかし,同准教授によると,こうした研究の追跡期間は13年以下で,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者のリスクは10~15年経過後に顕著になってくる可能性があるという。
 同准教授らは,1920~24年にウプサラで出生した者を対象に,50歳時点で健康診断を実施し,糖尿病の既往や心疾患入院歴のある者を除く1,758例を30年間追跡した。
 追跡期間中,681例が心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,心不全による死亡または入院)を経験した。そのうち心血管死は386例であった。年齢,喫煙歴,LDLコレステロール(LDL-C)値で調整後,メタボリックシンドロームの有無とBMIによる肥満/過体重の組み合わせごとに,正常体重でメタボリックシンドロームに該当しない対照群と比較した。その結果,対照群と比べた心血管疾患リスクの増大率は,(1)正常体重でメタボリックシンドローム群63%(2)過体重で非メタボリックシンドローム群52%(3)過体重でメタボリックシンドローム群74%(4)肥満で非メタボリックシンドローム群95%(5)肥満でメタボリックシンドローム群155%―であった。
 同准教授は「正常体重でもメタボリックシンドロームに該当すればリスクが増大し,過体重と肥満の群ではメタボリックシンドロームに該当しなくてもリスクは増大した。医師は喫煙,コレステロール,血圧,体重などを含めた総合リスクを考慮する必要がある。肥満や過体重でも他の危険因子がなければ減量の必要はないと指摘する研究者もいるが,今回の研究結果はこの考え方を支持していない」と述べている。

女性の肥満データも蓄積すべき

 今回の研究では,メタボリックシンドロームの基準を登録時検診において,(1)耐糖能異常(空腹時血糖値110mg/dL以上)(2)高血圧(130/85mmHg以上または降圧薬治療)(3)トリグリセライド高値(150mg/dL以上)(4)HDLコレステロール(HDL-C)低値(40mg/dL未満)(5)BMI高値(29.4以上)―のうち3項目以上の重積と定義した。通常,腹部肥満の指標としてウエスト周囲(腹囲)がメタボリックシンドロームの診断に用いられるが,今回の対象人口ではデータが入手できなかった。
 また,女性ではこうした因子に関する長期データは存在しないが,Ärnlöv准教授は「医師は女性の体重にも他の心血管危険因子と同様に注意を払うべきである。まだデータがないからといって,メタボリックシンドロームに該当しない肥満女性が安全だと考えるべきではないだろう」と指摘している。
 米国心臓協会(AHA)のスポークスマンでAHA栄養・身体活動・代謝評議会のBarry Franklin議長は「今回の研究結果は意外ではない。肥満が多くの危険因子を深刻化もしくは増悪させることは,以前から知られている。これまでの研究では,メタボリックシンドロームに該当しない肥満者ではリスクは増大しないことが示唆されていたが,今回の研究と比べると追跡期間がかなり短く,そうした研究結果が覆されたことは興味深い。今回の研究が以前のものと正反対の結果になった最大の理由は長期追跡にあると考えられる」と指摘している。
 今回の研究では,心血管疾患減少における身体的健康(fitness)の役割については論じられていない。同議長は肥満者に対して「たとえ5ポンド(約2.27kg)の減量でも健康上の有意な恩恵が得られることを認識すべきである」と強く呼びかけている。

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