〔米テキサス州ダラス〕カロリンスカ研究所(スウェーデン・ストックホルム)女性・小児保健部門主席研究員のGary Cohen博士らは「妊娠中に喫煙した女性の乳児では,寝た状態から立位状態へ移す際の昇圧反応に生後1週から異常が認められ,生後1年間持続する」との研究結果をHypertension(2010; 55: 722-728)に発表した。
心拍数の変化は大きい
人が立っているときには,寝ているときよりも血管を収縮させて血圧を上げ,心拍数を増加させて,心臓と脳の血流を保つ。眠っている乳児の身体を水平から起こしたときの血圧変化は,姿勢変化への適応力の指標となる。
今回の研究は,非喫煙者夫婦の乳児19人と,妊娠中に1日平均15本喫煙した女性の乳児17人を対象とした。乳児は出生時には標準体重で,母乳で育てられた。生後1週,3か月,1年の時点で,乳児が眠っている間に身体を水平から60度まで起こし,次に水平に戻した際の血圧と心拍数の変化を測定した。
たばこの曝露を受けなかった乳児では,身体を起こしたときの血圧増加率は生後1週では2%であったが,生後1年では10%となり,姿勢を変化した際の血圧反応が増強した。しかし,喫煙女性の乳児では,生後1週には身体を起こすと血圧が10%も増加したが,生後1年では増加率が4%に減少していた。また通常は,身体を水平に倒すと血圧が低下し正常に戻るが,喫煙者の乳児では身体を倒すと血圧が上昇した。
喫煙女性の乳児では,非喫煙者の乳児と比べて,生後3か月と1年目における立位状態による心拍数の変化が大きかった。眠っているときに,喫煙女性の乳児は非喫煙者の乳児と比べて,生後3か月時点の拡張期血圧が高く,生後1年では心拍数が20%低かった。
将来の高血圧の徴候か
Cohen博士は「喫煙女性の乳児は,生後1週には立位状態に対する昇圧反応が過剰なのに,生後1年では立位状態に対する反応が弱くなり,適応が不十分だった。今回の研究は,妊娠中のたばこへの曝露が,乳幼児期の血圧コントロールプログラムを長期的に改悪する可能性があることを,初めて明らかにした。たばこに曝露された乳児の血圧コントロールプログラムの機能的異常が,生後1週という早い時期から検出できたのは驚くべきことである。さらに,このような異常が1年間継続した」と指摘している。
同博士らは,今回対象とした乳児の追跡を継続して,乳児期の心血管機能のプログラムの変化が,将来の高血圧につながり,高血圧の早期マーカーとなるか否かなどを検証する予定である。
喫煙女性の乳児に血圧コントロール異常
[ 2010年3月4日号]
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