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米国成人の肥満率/近年の増加率は緩やかに推移
[ 2010年3月4日号]

〔シカゴ〕米疾病管理センター(CDC)米国立保健統計センター(NCHS)のKatherine M. Flegal博士らは,米国では成人の肥満率が依然として高く,2007~08年には成人の約3分の1が肥満であったが,新たなデータからここ数十年の米国における肥満の増加率は緩やかに推移していることが示唆されたとJAMA(2010; 303: 234-241)に発表した。

2000年までの傾向は持続せず

 米国では,人口の全国的な代表標本である国民保健栄養調査(NHANES)により身長と体重の測定値が収集され,このデータを活用すれば肥満率の傾向を追跡することができる。Flegal博士は「1988~94年のデータによると,米国成人の肥満率は,60年から80年にかけて比較的安定して推移した後,76年から80年以降にわたって約8%ポイント増加している。99~2000年のデータから,あらゆる年齢層において男女とも肥満がさらに増加したことがわかった」と述べている。
 今回の研究では,2007~08年の最新のNHANESデータを分析,1999~2006年のデータと比較した。20歳以上の成人男女5,555人の身長と体重の測定値をもとにBMIを算出し,BMI 25.0~29.9を過体重,同30以上を肥満と定義した。
 分析の結果,2007~08年の肥満率は33.8%であった。男性全体では32.2%で,人種と民族別に見ると,非ヒスパニック系白人男性の31.9%から非ヒスパニック系黒人男性の37.3%まで分布していた。
 女性全体では35.5%で,同じく非ヒスパニック系白人女性の33.0%から非ヒスパニック系黒人女性の49.6%まで分布していた。過体重と肥満を合わせて算出したところ,全体で68.0%,男性で72.3%,女性で64.1%であった。
 女性の肥満率は,1999年から2008年までの10年間で統計学的に有意な変化は認められなかった。男性では同期間に有意な線形トレンドが観察されたが,最近の3期分(2003~04年,2005~06年,2007~08年)については,それぞれの期間で有意差は認められなかった。
 同博士らは女性の肥満率について「1976~80年と88~94年,88~94年と99~2000年の間に認められた増加は,99年から2008年にかけて同程度に見られなかった」と説明。男性でもその傾向が示唆されたという。
 同博士は今後の課題について「人口レベルで過体重と肥満を予防,治療することは困難である。医学的な予防策と肥満成人に対する治療プログラムだけでは不十分で,健康的な食生活と身体活動につながるよう社会的および物理的環境状況の改善に人口ベースで取り組む必要がある」と述べ,「環境的介入に力を入れることによって,健康増進と将来的な肥満率の低下が図れるだろう」と付け加えている。

依然として高いことを指摘

 マサチューセッツ退役軍人局研究情報センター,退役軍人局ボストン保健医療システム,Brigham and Women's病院(いずれもボストン)のJ. Michael Gaziano博士は,同誌の付随論評(2009; 303: 275-276)で「今回の米国での過体重と肥満に関する研究は,傾向として見れば朗報であるが,依然として深刻な問題だ」とコメントしている。
 同博士は「この傾向が維持されたとしても,米国成人の68%が過体重または肥満で,米国における学齢期の小児と青年の32%近くがその年齢のBMIの85パーセンタイル以上に入っている。肥満がもたらす健康障害リスクを考慮すると,過体重と肥満による影響への意識を向上させるべく大規模な公衆衛生キャンペーンを行う必要がある。過去,こうしたキャンペーンでは喫煙,高血圧,脂質異常症の脅威を知らしめることに成功しており,医師などの医療従事者,一般市民を対象とした啓発活動が大きな成果を上げている。より優れた管理と治療選択肢を見出すために,大規模な研究に取り組む必要がある。積極策の打ち出しに手間取ると,過去40年間に培われた慢性疾患の有病率低下という有意な成果が相殺されてしまうかもしれず,平均寿命の短縮にもつながりかねない」と警告している。

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