〔デンマーク・コペンハーゲン〕コペンハーゲン大学生命科学部のJens Lykkesfeldt教授らは,ビタミンC欠乏が新生児の精神発達に影響する可能性があるとAmerican Journal of Clinical Nutrition(2009; 90: 540-546)に発表した。この研究で同教授らは,ビタミンC欠乏食により中等度のビタミンC欠乏状態にしたモルモットでは,通常食で飼育したモルモットに比べ海馬の神経が30%減少し,空間記憶が顕著に悪化したことを示した。
新生児の脳は影響を受けやすい
ヒトはモルモットと同様にビタミンCを食物からしか摂取できないため,Lykkesfeldt教授らは妊娠中や授乳中の女性のビタミンC欠乏は胎児や新生児の発達を障害する可能性があると推測している。
これまでも,いくつかの因子から,特に新生児の脳は他の組織とは対照的にわずかなビタミンC濃度の低下でも影響を受けやすいことが示唆されている。ビタミンC濃度は脳神経で最も高く,ビタミンC摂取量が低い場合でも脳を守るために脳ではビタミンCが維持される。このように,ビタミンCは脳の働きに非常に重要なものであると考えられる。また,複数の試験では,ビタミンCの輸送ができないようにしたマウスの胎児で重度の脳障害が生じたことが示されている。脳障害は早産児で認められるものと似ており,成長後に学習障害や認知障害を生じた。
世界のある地域では,ビタミンC欠乏はごく一般的なもので,ブラジルやメキシコで行われた人口集団研究では,妊婦の30〜40%でビタミンC濃度が低く,その胎児や新生児においても濃度が低いことが認められている。デンマークなど西洋諸国ではどの程度の新生児がビタミンC欠乏を生じているかは不明であるが,成人での発生率に基づいて控えめに見積もっても,5〜10%であると推測される。
同教授は「われわれが目撃しているのは,幼いときに十分な量のビタミンCを摂取できずに,学習障害となってしまった小児かもしれない。ビタミンのサプリメントを高リスクの妊婦や産婦に与えることでビタミンC欠乏が予防できる時代にこれは許容し難いことだ」と述べている。
同教授らは現在,妊娠初期のモルモットのビタミンC欠乏が胚発生にどのように影響するのか,障害は出産後に回復するのか否かなどを明らかにする目的で研究を行っている。
ビタミンC欠乏が脳発達に影響
[ 2009年11月5日号]
記事タイトル[掲載号]
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