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H. pylori の除菌で胃がんリスク減少
[ 2009年12月10日号]

〔ニューヨーク〕ボローニャ大学(伊ボローニャ)のLorenzo Fuccio博士らは,ランダム化試験7件のメタアナリシスを実施した結果,Helicobacter pyloriの除菌治療が胃がんリスクを減少させる可能性があるとAnnals of Internal Medicine(2009; 151: 121-128)に発表した。

一部には疑問も

 H. pyloriの感染が胃がんに関連していることは周知の事実であるが,H. pyloriの除菌によって胃がんリスクが減少するか否かについては一部では,疑問視されている。Fuccio博士らは,今回のメタナリシス実施に当たってプールする研究の選択基準を,(1)H. pylori陽性患者の除菌治療群と未治療群を比較したランダム化比較試験(2)経過観察中に発見された胃がんの症例数が明記されているもの-とした。研究手法としては,2人の研究者が独立して論文の精査を行い,矛盾点についてはすべての研究者の同意を得ることで解決した。
 メタアナリシスに用いた7件の研究はすべて胃がん発症率の高い地域で実施されたもので,6件はアジア(日本2件,中国4件),他の1件はコロンビアで実施された。7件の研究中2件のみが二重盲検試験で,4件はプラセボを使用していた。
 全体では,除菌治療群3,388例中37例(1.1%)に胃がんが発症したのに対して,未治療群では3,307例中56例(1.7%)に発症した。
 4〜10年間にわたって経過観察した6件の研究の被験者6,695例に対する統合解析を行った結果,除菌治療群の胃がんに対する相対リスク(RR)は0.65〔95%信頼区間(CI)0.43〜0.98〕であった。
 残り1件の研究(Fukase K, et al. Lancet 2008; 372: 392-397)は,早期の胃がん患者が含まれるなど被験者の組み入れ条件における多様性を理由に,統合解析から除外した。この研究を統合解析に含めた感度解析ではRRは0.57(95%CI 0.40〜0.81)であった。

発がんプロセスの後期でも有効

 また,前がん病変の進行に関する除菌治療の効果を考察した5件の研究のサブグループ解析では,RRは0.66(95%CI 0.41〜1.04)であったが,胃がん発症率を主要アウトカムとして考察した2件の研究のサブグループ解析では,RRは0.46(95%CI 0.26〜0.82)であった。
 Fuccio博士らは「今回のメタアナリシスでは,大多数の患者が試験開始前に胃粘膜萎縮または腸上皮化生と診断されていたことから,H. pylori除菌治療が発がんプロセスの後期でも有益な可能性があり,また発がんがH. pylori除菌によって抑制できることが示唆されたことは重要である」と述べている。
 総合的に,今回のメタアナリシスによる知見は,胃がん発症率の高い集団に対してスクリーニングとH. pylori感染患者の治療を推奨する2008年アジア太平洋国際ガイドライン(Fock KM, et al. Journal of Gastroenterology and Hepatology 2008; 23: 351-365)を支持するものである。

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