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小児期のいじめ体験が以後の精神障害と関連
[ 2009年11月5日号]

〔シカゴ〕トゥルク大学病院(フィンランド・トゥルク)小児・思春期精神医学地域センターのAndre Sourander博士らは,小児期のいじめや虐待は男女ともに以後の精神障害と関連しているとArchives of General Psychiatry(2009; 66: 1005-1012)に発表した。その場合,既存の精神障害とは無関係に,女性のほうが影響を受ける確率が高いとしている。

いじめる側にもいじめられる側にも家族の問題が

 Sourander博士は「いじめとは,被害者が一方的に受ける,自分を防御できないほどの攻撃的な行為で,反復的要素を伴うと定義できる」と述べている。
 いじめと虐待は,劣悪な家族関係,親子(夫婦)間の暴力,親の不当な虐待に関連しており,いじめる側にもいじめられる側にも問題があることが多い。いじめの影響に関する研究はこれまでにも行われていたが,同博士は「小児期のいじめと思春期後期および成人期のアウトカムの関連性を男女で調べた住民ベースの研究はこれまでなかった」と指摘している。
 今回の研究は,フィンランド全土で実施されたFinnish 1981 Birth Cohort Studyに参加したフィンランド人5,038例を対象に,小児期(8歳時点)のいじめと虐待,その後(13〜24歳)の向精神薬を使用した精神科への入院と治療の関連性が調査された。情報は親,教師,参加者の自己報告,全国の入院・投薬記録から収集した。
 全体的に見ると,8歳男児の6%は他者を頻繁にいじめ,被害者の経験はなかった。また,男児の6.4%は,加害者の経験はなく頻繁に被害に遭っていた。さらに,男児の2.8%では,加害者と被害者の両方の頻度が高かった。
 一方,女児では3.6%が頻繁ないじめの被害者であり,0.6%は頻繁ないじめの加害者,0.2%は頻繁な加害者と被害者の両方を経験していた。

社会全体でも深刻な問題に

 Sourander博士は「ベースラインの精神医学的問題とは無関係に,8歳時における女児の頻繁ないじめの被害は,将来的な精神科の治療と抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬の使用の独立した予測因子であることがわかった。男性では,頻繁な加害者と被害者としての経験と,加害者のみの経験は,抗うつ薬と抗不安薬の使用の予測因子であった。また,男性では頻繁な加害者と被害者としての経験は,精神科の治療と抗精神病薬の使用を予測している。しかし,8歳時点の精神病理学的な総スコアによる調整を行ったところ,頻繁な加害者であった経験,頻繁な被害者であった経験,頻繁な加害者と被害者であった経験は,いずれも男性では精神医学的アウトカムと関連していなかった」と述べている。
 同博士は「いじめ行動は将来の精神障害リスク指標と考えるべきで,当該関係者だけでなく,社会全般にとっても深刻な問題に発展する可能性がある」と指摘している。
 結論として,同博士は「いじめを予防するシステムを開発するには,関与している生物学的,心理学的,社会的な機序に関する知識が必要である。小児期のいじめ行動の表現が将来的な精神障害に関連しているとの知見を受けて,教育現場に精神衛生サービスを組み入れる必要がある。政策立案者,教職員,一般市民に対し,いじめと虐待の短期的および長期的結果の可能性について情報を提供する必要がある」と述べている。

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