〔ロンドン〕ロンドン大学小児保健研究所小児疫学・生物統計学センターのCatherine Law教授らは,外で働いている母親の子供は働いていない母親の子供に比べて生活パターンが不健全になりやすいとする研究結果をJournal of Epidemiology and Community Health(2009: オンライン版)に報告した。
食生活が乱れ運動量も少ない
Law教授らは,英国ミレニアムコホート研究(UK Millennium Cohort Study)の一環として,対象となった1万2,576人の5歳の一人っ子を対象に,外で働く母親の就労時間と子供の食生活や身体活動との関係について検討した。
その結果,働いている母親の子供では運動量が少なく,家でほとんど体を動かさないことが多く,自動車で登校している割合が高い傾向が認められた。
母親には1日の就労時間に加え,子供の(1)食生活(2)運動レベル(3)座って行う活動(4)摂取している甘い菓子やスナック菓子(5)摂取している甘味飲料(6)果物・野菜などの摂取量(7)組織的な身体活動への参加の有無(8)登校手段―などについて質問した。また,母親には子供が1日のうちテレビやコンピュータの前で過ごす時間についても質問した。
母親の学歴,社会経済的状態など結果に影響を及ぼしうる交絡因子を調整した結果,パートタイムまたはフルタイムで働いている母親の子供では,全く働いていない母親の子供に比べ甘味飲料をより多く飲む傾向が認められた。
また,働く母親の子供では,2時間以上テレビまたはコンピュータの前で過ごす子供が多く,学校へも徒歩や自転車ではなく自動車で送られている割合が高い傾向にあった。さらに,フルタイムで働いている母親の子供では食間に果物や野菜,または果物を1日3回以上摂取することが少ない傾向が認められた。
仕事がフレックス制の母親の子供の生活パターンは,より健康的である傾向が認められたが,交絡因子を調整すると,これらの子供のほうが健康的に行動しているというエビデンスはほとんど認められなくなった。
働く親を支援する政策が必要
Law教授らによると,ここ数十年来,父親の勤務パターンはほとんど変化していないのと対照的に,母親の勤務パターンは変化している。現在,米国と英国では5歳未満の子供のいる母親の約60%は働きに出ているという。
同教授らは「働いている多忙な母親にとって,子供に健康的な食事や身体活動の機会を与える時間は限られている」としながらも,母親が働いていることと子供の肥満リスクが高まることの因果関係を示唆した以前の研究結果にも言及している。
同教授らは「今回の知見は母親が働くことを否定するものではない。むしろ,今回の結果から働く母親の子供の健康的な環境づくりには,母親を支援する政策やプログラムが必要であることが明らかとなった。例えば,既にスコットランドで採用されている子供の食事に関するフォーマルケアのガイドラインをイングランドでも取り入れるべきである」と結論している。
働く母親の子供は不健全で肥満リスク高い
[ 2009年11月19日号]
記事タイトル[掲載号]
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