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中年女性で心筋梗塞発症率が上昇/死亡率は低下傾向に
[ 2009年12月10日号]

〔シカゴ〕南カリフォルニア大学(ロサンゼルス)のAmytis Towfighi博士らは,過去20年間に中年女性の心筋梗塞の発症率は上昇しているが,発症後の生存率も近年上昇しており,特に55歳未満の女性ではその傾向が著しいとArchives of Internal Medicine(2009; 169: 1762-1766)に発表した。

中年女性の危険因子に注意

 これまで,中年女性では同年齢層の男性よりも心イベントや脳卒中の総リスクが低いと考えられていた。しかし最近の報告で,米国人口の代表サンプルにおいて女性では男性よりも脳卒中の発症率が高いことが示されたことから,女性の心疾患や心筋梗塞の発症率についても上昇しているのではないかという問題が提起されていた。
 Towfighi博士らは,1988〜94年(4,326例)と99〜2004年(4,075例)に米政府が実施した全国代表サンプル調査である国民保健栄養調査(NHANES)に参加した35〜54歳の成人のデータを分析した。男女の心筋梗塞の頻度を評価するとともに,男女のフラミンガムリスクスコアを比較した。同スコアは10年間の心疾患リスクの指標で,年齢,コレステロール値,血圧,喫煙歴などの因子を含む。
 いずれの期間とも,35〜54歳の男性では同年齢層の女性よりも心筋梗塞の発症率が高かった。しかし,近年になるほど男性の心筋梗塞の発症率は低下傾向を示す一方,女性では上昇しており,男女の発症率の差が縮まっていた(1988〜94年における心筋梗塞の有病率は男性2.5%,女性0.7%であったのに対し,99〜2004年ではそれぞれ2.2%,1%)。
 両期間中,男性のフラミンガムリスクスコアの平均値は改善傾向を示していたが,女性では悪化していた。男性の総コレステロール(TC)値は横ばいであったが,HDLコレステロール(HDL-C)値と収縮期血圧は改善しており,喫煙率は低下していた。一方,女性で改善が認められた危険因子はHDL-C値のみであった。糖尿病の有病率は男女ともに増加しており,男女のインスリン抵抗性と肥満の増加に起因していると考えられた。
 同博士は「中年期の男性では同年齢層の女性よりも心筋梗塞の発症率が高く,重症冠動脈性心疾患(CHD)の10年リスクも高いままであったが,女性の心疾患リスクは増加していることが示唆される。したがって,中年女性の血管危険因子のスクリーニングと治療への取り組みを強化することが望まれる」と述べている。

死亡リスク減は男性の3倍

 エモリー大学(ジョージア州アトランタ)のViola Vaccarino博士らは,別の研究で,1994年6月1日〜2006年12月31日の心筋梗塞による院内死亡率の動向を調査し,同誌(2009; 169: 1767-1774)に発表した。
 全米心筋梗塞登録から91万6,380例のデータを収集し解析した結果,1994〜2006年に全患者の院内死亡率は低下したが,女性のほうが男性よりも低下が大きかった。死亡率の低下が最大であったのは55歳未満の女性(52.9%減少)で,最小であったのは55歳未満の男性(33.3%減少)であった。55歳未満の女性患者の死亡リスクの絶対減少率(2.7%)は男性(0.9%)の3倍であった。
 同博士は「近年の若年女性における死亡率の急激な低下の大部分(93%)は,女性の入院時のリスク状態が男性よりも改善されていることに起因している。女性のリスク改善は,血行再建術の既往における性差の縮小から示唆されるように,急性心筋梗塞イベント前の女性におけるCHDとその危険因子に関する認識と管理が男性よりも優れていることによるものではないか」と考察している。
 シャリテ大学病院(ベルリン)のSabine Oertelt-Prigione博士らは,同誌の付随論評(2009; 169: 1740-1741)で「両研究は,われわれが正しい方向に進んでいることを示すもので,勇気付けられる。しかし,一般集団における肥満と2型糖尿病といった危険因子のある患者数の増加を考慮すると,今後さらなる対策が必要である」と述べている。

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