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体脂肪分布が中年の静脈血栓塞栓症リスクに影響
[ 2009年12月17日号]

〔米テキサス州ダラス〕オーフス大学病院(デンマーク・オールボー)臨床疫学科のMarianne Tang Severinsen博士らは,中年の男女における体脂肪の蓄積部位が静脈血栓塞栓症(VTE)リスクに影響し,それには男女差が見られるとCirculation(2009; 120: 1850-1857)に発表した。

女性はヒップ周囲径と相関

 Severinsen博士らは,10年間の前向き追跡調査で,登録時50〜64歳の男性2万7,178例と女性2万9,876例を対象に,体重や体脂肪分布とVTEの発症率との関連について検討した。VTEには深部静脈血栓症と肺塞栓症が含まれた。医療記録によると,10年間の追跡期間中に641件のVTEイベントが発生した。
 成人における疾患・死亡の重要な原因であるVTEは,静脈系でできた血栓が遊離し,別の血管を閉塞するために発症するもので,一般的には下肢静脈にできた血栓が肺動脈を詰まらせる。
 検討の結果,VTEとすべての肥満計測値(体重,BMI,総体脂肪量,ウエスト周囲径,ヒップ周囲径)との間に統計学的に有意な正の相関が認められた。この相関関係は,VTEの種類とは無関係であった。
 男女ともVTEと体脂肪分布の間に正の相関が認められた。ウエスト周囲径とヒップ周囲径を調整すると,女性ではヒップ周囲径とVTEの間に正の相関が認められたが,男性では認められなかった。逆に男性ではウエスト周囲径とVTEの間に正の相関が認められたが,女性では認められなかった。
 この相関関係は喫煙,身体活動,身長,高血圧,糖尿病,脂質異常症,女性ではホルモン補充療法など他の危険因子とは独立していた。
 同博士らは「BMIは肥満のマーカーで,成人の体脂肪量とよく相関するが,体脂肪分布は反映していない」と指摘。「一般の人々に対しては,どのタイプの肥満もVTEリスクを高めるが,さらに体脂肪の分布もVTEリスクになんらかの未知の影響を及ぼしていること,また医療従事者に対しては,VTEリスクを評価する際は,すべての体脂肪分布を考慮するよう提言したい」と述べている。

従来の研究結果を否定

 医師のVTEリスク評価の向上に役立つ今回の結果は,ヒップ周囲径の増大が動脈血栓に防御的に作用するとした従来の研究とは相反するものでもある。Severinsen博士は「今回の研究から,ヒップ周囲径の増大は静脈血栓に対しては防御的には働かないことを示している」と説明している。
 今回の知見は,脂肪組織のタイプの差を考慮していない。しかし,今回の結果は冠動脈性心疾患(CHD)と比較すると,VTEでは体脂肪分布のタイプの間には明らかな差があることを示している。これまで,ヒップ周囲径を指標とした末梢性肥満がCHDと関連することを示した報告はない。また,現在まで,VTEリスクに対する体脂肪分布の重要性が評価されることはなかった。
 同博士は,この相関の基盤となる機序を説明するには,さらなる研究が必要としている。今回の研究は,追跡期間中に参加者の体重が変動する可能性がある点で限界があった。特に,やせた参加者よりも体重増加が多かった肥満の参加者に対して,肥満の影響を過小評価した可能性がある。
 今回の研究はHerta Christensens研究財団とデンマーク肥満研究センター(DanORC)の助成を受けた。

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