〔シカゴ〕オーストラリア連邦産業科学研究機構(CSIRO)食品栄養科学部(オーストラリア・アデレード)のGrant D. Brinkworth博士らは,低カロリーの高炭水化物・低脂肪ダイエットは1年後,同じカロリーを摂取する低炭水化物・高脂肪ダイエットと比べ,ダイエットをする人の心的状態に有益であるとArchives of Internal Medicine(2009; 169: 1873-1880)に発表した。
公式な推奨は低脂肪ダイエット
減量達成後,肥満者では心的状態が改善する傾向が見られる。肥満治療に対しては,一貫して高炭水化物,低脂肪,エネルギー制限から成るダイエットを行うことが公式に推奨されている。しかし,肥満の蔓延を背景として,一般的に蛋白質と脂肪(特に飽和脂肪)を高摂取し炭水化物を制限したケトン体ダイエットなど,体重管理のための新たなダイエット法に広く関心が寄せられている。近年の臨床研究が示すところによると,低炭水化物ダイエットは減量のための有効な選択肢となる可能性があるが,心的状態や認識などの心理学的機能に対する長期的影響についてはほとんど研究されていない。
Brinkworth博士らは,平均年齢50歳の過体重・肥満の106例を対象にランダム化比較試験を行った。これらの被験者を,(1)超低炭水化物・高脂肪ダイエット群(55例)(2)高炭水化物・低脂肪ダイエット群(51例)―にランダムに割り付け,体重,心的状態,幸福感,認知機能(思考,学習,記憶力)の変化を1年間の介入期間中とその後に定期的に評価した。
低炭水化物食は遵守が困難
1年後の全平均減量は13.7kgで,両群間に差異は認められなかった。試験開始当初(8週間後)では,両群ともに心的状態が改善した。しかし,心的状態に関するほとんどの指標で持続的な改善が認められたのは高炭水化物・低脂肪ダイエット群のみで,超低炭水化物・高脂肪ダイエット群では心的状態が低下,一部の評価項目ではベースラインレベルよりも下がった。
Brinkworth博士らは今回の結果を受けて「低炭水化物ダイエットには心的状態に対して有害な影響を与える可能性があり,1年間で減量による好ましい効果が損なわれたようだ。その理由としては,(1)低炭水化物食の遵守が,パスタやパンが多い典型的な西洋食に反し,社会生活を送るうえで困難であること(2)処方された食事内容そのものが原因(3)蛋白質や脂肪の摂取が,心理学的機能と関連する神経伝達物質の脳内セロトニン値に影響を与えること―などが考えられる。
両群は期間中,思考,記憶のパフォーマンスの変化において同等であったため,いずれのダイエットの栄養分も認知機能の変化に関連するというエビデンスは得られなかった」と結論付けている。
低脂肪食は心的状態を改善
[ 2009年12月24,31日号]
記事タイトル[掲載号]
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