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児の行動障害リスクが上昇/妊娠中の母親の喫煙
[ 2010年1月7日号]

〔ロンドン〕ハル・ヨーク医科大学(ヨーク)健康科学のKate E. Pickett教授らは,妊娠中に喫煙していた母親の子供では,多動などの行動障害を3歳までに発現するリスクが高まるとJournal of Epidemiology and Community Health(2009; 64: 82-88)に発表した。男児は女児よりも行動障害リスクが高く,性差があることが示された。

1万4,000組の母子を解析

 今回の研究は,妊娠中の母親の喫煙行動と出生児における多動や攻撃性などの行動障害リスクを評価したもの。Pickett教授らは,2000〜01年の出生児とその家族を調査した大規模な母集団研究「英国ミレニアムコホート研究(MCS)」の対象となった3歳児とその母親約1万4,000組のデータを解析した。
 妊娠中の1日当たりの喫煙量によって,母親を少量喫煙群(10本未満)と大量喫煙群(10本以上)に分け,これらの母親から生まれた3歳児における行動上の問題について「小児の行動に関する質問票(Strengths and Difficulties Questionnaire;SDQ)」を用いて評価した。評価に際しては,問題行動と注意欠陥・多動性に焦点を当てて分析した。
 問題行動については,(1)小児の気質(2)他の児童とのなぐり合いやいじめの頻度(3)おとなに対する理屈っぽい口答え-などを評価している。
 一方,注意欠陥・多動性の行動については,情緒不安や落ち着きのなさの程度,注意がどの程度散漫になりやすいかなどに関する設問の回答に基づいて評価した。
 その結果,約10人中1人の母親が妊娠中も大量の喫煙を継続しており,12.5%が少量の喫煙を続けていると回答した。妊娠中に禁煙したと回答した母親は12.4%であった。
 妊娠中に喫煙していた母親から生まれた男児では,(1)出産時の母親の年齢(2)母親の教育レベル(3)社会経済的地位(4)家族の安定度(5)問題のある育児-などの関連因子を調整した後でも,非喫煙群の男児に比べて異常に活発で注意力が欠けるなど,行動障害が顕著に認められた。

大量喫煙ではリスクが2倍に

 大量喫煙群の男児では,非喫煙群の子に比べて問題行動のリスクがほぼ2倍高かった。少量喫煙群の男児では,注意欠陥・多動性の行動リスクが80%高かった。
 大量または少量喫煙群の女児では,非喫煙群の女児に比べて,3歳以降に問題行動が顕著であった。
 妊娠中禁煙群の女児では,非喫煙群の女児に比べて,問題行動や注意欠陥・多動性などの行動障害リスクが低かった。ただし,Pickett教授は,今回の研究結果は少ないサンプル数を検討したものであるとし,「禁煙に成功した母親は,自制心を持ち,おおらかな気質であることが考えられ,これが出生児に遺伝した可能性もある」と推測している。
 妊娠中の喫煙により,胎児の脳機能や構造上の発達が損なわれることは,これまでの動物実験で明らかにされている。女児よりも男児で行動障害リスクが高い理由として,同教授らは「男の胎児では,たばこなどの化学物質による影響を受けやすいと考えられる」と指摘し,「喫煙により児の発達や行動パターンに寄与する遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用が促進される可能性がある」と述べている。

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