〔ロンドン〕スペイン・バスク自治州ギプスコア公衆衛生省(サン・セバスティアン)のLarraitz Arriola氏らは,食事と飲酒に関する質問票調査を実施した結果,「男性ではアルコールの種類を問わず,飲酒習慣が重度の心疾患リスクを著明に低下させることがわかった」とHeart(2009; オンライン版)に発表した。
大量飲酒者でも50%減少
スペインはビールとワインの生産で世界第3位を誇り,国民1人当たりの飲酒量は世界第6位であるが,冠動脈性心疾患(CHD)による死亡率が世界で最も低い国の1つでもある。
Arriola氏らは,スペインの成人4万1,438人(男性1万5,630人,女性2万5,808人,29~69歳)に対して食事と飲酒に関する質問票調査を実施した。質問票では,前年における特定の食品や飲料の消費量について回答してもらった。アルコール総摂取量は,1日または1週間に消費したアルコール飲料の標準飲酒量をもとに算出した。1標準飲酒量には約14gのアルコールが含まれる。また,運動,喫煙,肥満,高コレステロールなど他の心疾患危険因子などライフスタイルに関する情報も収集した。
今回の研究では,西欧10か国の成人約50万人を対象とするEuropean Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)試験のスペインの参加者について,その後10年間(中央値)の健康状態を追跡調査した。その期間中に609件(男性481件,女性128件)の冠動脈イベントが発生した。
男性の飲酒者では,中等量,多量,大量に摂取した全例でCHDリスクの低下が見られた。非飲酒者と比べたCHDリスクの低下率は,元飲酒者に分類された者で10%,少量(0~5g/日)の飲酒者で35%,中等量(5~30g/日)では51%,多量(30~90g/日)では54%,大量(90g/日以上)で50%であった。
女性では有意な効果が得られず
飲酒の恩恵は女性にも見られたものの,統計学的に有意ではなかった。Arriola氏らは「女性の場合,男性より冠動脈イベントの発生数が少ないためではないか」と考えており,(1)女性のアルコール分解プロセスは男性とは異なる(2)若年女性では女性ホルモンが心疾患を予防する―ことを指摘している。
今回の調査は,概して摂取アルコールの種類と予防の程度は無関係だが,ワインだけでなく他のアルコール飲料においても中等量~多量の飲酒者のほうがCHDによる死亡に対する予防効果が高かったことを示している。ただし,同氏らは「世界保健機関(WHO)の見積りによると,世界ではおよそ20億人が飲酒し,そのうち7,600万人超が健康を害している」と警告している。
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記事タイトル[掲載号]
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