〔ニューヨーク〕 シカゴ大学(シカゴ)のKristen L. Knutson博士らは,5年間にわたるコホート研究を実施した結果,睡眠時間の減少や睡眠の質の低下から血圧上昇や血圧の有害な変化が予測できることが明らかになったとArchives of Internal Medicine(2009; 169: 1055-1061)に発表した。同博士らは「今回の知見は,高血圧予防の新たな介入法の可能性を示唆している」と述べている。
睡眠が短いと高血圧が増加
研究の背景情報によると,最近の2件の疫学研究(Gangwisch JE, et al. Hypertension 2006; 47: 833-839,Gottlieb DJ, et al. Sleep 2006; 29: 1009-1014)から,自己報告による睡眠時間と,高血圧の有病率または発生率との間に関連性が示唆されている。また,不眠と高血圧との間の因果関係の潜在的機序として,交感神経活動の上昇とそれに続く血圧の上昇が明らかにされている。
Knutson博士らの研究は,Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)コホート研究の補助的な研究として実施された。対象は試験開始時に33〜45歳であった578例で,5年間にわたり睡眠時間や睡眠の質を客観的に測定した。2000〜01年および2005〜06年に血圧を測定し,睡眠測定は2003〜05年の連続した3日間に2回行い,手首アクチグラフ(睡眠覚醒判定装置)を用いて睡眠時間と睡眠維持(睡眠の質の評価項目の1つ)を算出した。
今回の研究では降圧薬を服用している患者を除外し,年齢,人種(アフリカ系米国人か白人か),性について調整した。その結果,睡眠時間の減少や睡眠維持の低下が,5年間にわたる収縮期血圧(SBP)や拡張期血圧(DBP)の有意な上昇につながることがわかった。また,SBPとDBP値の差の増加も見られた(すべてP<0.05)。
さらに,睡眠時間の減少は高血圧発症のオッズ比(OR)の有意な上昇も予測した(OR 1.37,95%信頼区間1.05〜1.78)。いびきや日中の眠気などの16の共変量について調整したところ,睡眠と血圧との関係がわずかに減弱した。
二次分析から,自己報告による高頻度のいびきは,女性では高血圧発症のORの上昇との関連が認められたが,男性では認められなかった。
同博士は「今後は睡眠の是正によって血圧上昇リスクが低下しうるか否かを検証するために,介入試験を行う必要がある」と述べている。
なお,鳥取大学の小谷和彦氏(現・自治医科大学)らがInternational Journal of Cardiology(2008; 125: 425-427)に発表した女性を対象とした日本の研究でも,自己報告による浅眠とDBP上昇との間に関連が認められたが,SBPとの間には関連が認められなかった。Knutson博士らは「今回の研究からも,全共変量についての調整を行った後に,睡眠時間とSBP変化との関連はDBPの場合と比べて弱いことが明らかになった」と述べている。
睡眠時間や睡眠の質の低下が血圧の上昇を予測
[ 2009年12月3日号]
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