〔シカゴ〕バーモント大学(バーモント州バーリントン)のJennifer J. Otten博士〔現スタンフォード大学(カリフォルニア州スタンフォード)〕らは,3週間にわたって成人のTV視聴時間を強制的に半減させたところ,カロリー摂取量に有意な変化はなかったが,エネルギー消費量は増加したとArchives of Internal Medicine(2009; 169: 2109-2115)に発表した。
ロックアウトシステムを導入
今回の研究の背景情報によると,成人は1日平均約5時間TVを視聴する。これまで,肥満の予防と減少に関しては,食事と身体活動の改善に焦点が当てられてきた。しかし,TV視聴に代表される“体を動かさない時間”を減らすという新たな戦略も検討されている。TVの視聴時間を減らすことによって,活発な行動が増加するだけでなく,肥満との関連が示唆されている慢性的睡眠不足も軽減する可能性がある。
Otten博士らは,BMIが25~50で1日のTV視聴が3時間以上の成人36人を対象に,ランダム化比較試験を行った。2008年1~7月に3週間の観察期間を設け,その間にTV視聴時間を毎日計測した。その後被験者を,(1)ロックアウトシステム(観察期間中に記録された視聴時間の50%となるよう1週間の視聴制限を設け,それに達するとTVが切られる仕組み)を導入した群(介入群,20人)(2)導入しない群(対照群,16人)-にランダムに割り付け,3週間フォローアップした。
エネルギー消費量が増加
アームバンドにより身体活動量を測定した結果,介入群ではシステム導入期間中に消費した1日当たりのエネルギーが観察期間と比べて119kcal多かったのに対し,対照群では95kcal少なかった。
一方,エネルギー摂取量の低下は両群ともに見られたが,低下度は有意ではなかった(介入群―125kcal,対照群―38kcal)。
摂取カロリーから消費カロリーを引いたエネルギーバランスは,介入群ではマイナス(―244kcal/日),対照群ではプラスであった(57kcal/日)。しかし,この差は統計学的に有意ではなかった。
BMIに関しては,介入群でより減少した(介入群−0.25,対照群−0.06)。
小児は成人と異なる機序
Otten博士らは「特別研究班による最近の報告では,肥満増加を抑制する取り組みとして,小さな行動変化を長期間持続可能な方法として支持している」と述べている。
小児を対象とした過去の研究では,TV視聴時間を減らすことで摂取エネルギーは低下するが,消費エネルギーは増加しないことが示されており,今回の結果と照らし合わせると成人と小児とでは異なる機序によってエネルギーバランスが改善することがわかった。
同博士らは今回の研究について「TV視聴時間の減少による効果を成人で検討した研究はおそらく初めてだろう。“体を動かさない時間”を減らした際に,成人と小児では異なる行動を取ることを示した。TV視聴時間については,成人における肥満の減少と予防という観点から,さらに調査を行うべきである」と結論付けている。
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記事タイトル[掲載号]
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