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  • No.0017 OFR血液がん(患者編)

    発刊日:2023年12月22日

    監修医 : 都立駒込病院 血液内科 医長 名島悠峰 先生

     血液がんの罹患数が高齢化と共に増加の一途を辿る中、(国立研究開発法人国立がん研究センターホームページ. がん種別統計情報)日本ではますます多くの患者さんが血液がんに対する医療の提供を必要としています。

    一方、医学の進歩による予後の延長を背景に、今日では治療の成果だけでなく「いかにがんと共に生きるか」も患者さんにとって重要なテーマとなる時代が訪れています。
    自身の疾患と上手に付き合っていくため、患者さん自身が最新の治療や副作用の管理などについて良質な情報を求めています。

     本レポートは、血液がん薬物療法の経験がある患者さんを対象に、通院/転院の状況、薬物療法の状況、就労の状況、治療・薬剤に関する情報収集、デジタルヘルスの利用状況を調査しその結果をまとめたものです。
    患者調査と医師調査に共通の質問を設定する試みにより患者と医師の両者間の意識の比較分析が行われた点が本レポートの特長だと思います。

     医師からの治療方針の説明や選択肢の提示に対する両者の認識の差の実態や、医師とのコミュニケーションに対する満足度を左右するいくつかの要素を明らかにした調査結果は、医師が自らを省みるきっかけにもなると思います。
    また、患者さんが薬物療法において重視することや、副作用に悩まされたときの意識についても詳細な調査が行われており、企業を含め患者さんを支える立場にあるすべての関係者に対し多くの示唆が与えられると感じています。

     がん診療を受ける上では患者さん自身での情報収集が欠かせないとされる昨今、すでにさまざまな企業が多彩なツールやアプリなどの提供により支援の努力を重ねていますが、本調査結果では患者さんへの活用広がりにおいて課題が残されていることも示されています。
    患者さんが真に満足できる医療の提供は、医療従事者と企業がそれぞれの役割を果たしながら協力することによって実現します。企業の皆さんが本レポートを一助として、患者さんに寄り添う医療にますます貢献されることを願っています。

  • No.0016 OFR血液がん(医師編)

    発刊日:2023年12月22日

    監修医 : 都立駒込病院 血液内科 医長 名島悠峰 先生

     日本における血液がんの罹患数は高齢化に伴い増加しており、(国立研究開発法人国立がん研究センターホームページ. がん種別統計情報)この傾向は今後も継続すると予測されています。
    一方、新たな治療戦略の導入による予後改善への努力は絶え間なく続いており、血液がん診療は日々発展しています。

     多発性骨髄腫に対する新たなCAR-T細胞療法、新規分子標的薬の承認、既存の分子標的薬の適応拡大などもあり、2023年には「造血器腫瘍診療ガイドライン」が3年ぶりに改訂され、疾患によっては治療アルゴリズムの見直しも行われています。
    (日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版序文)

     本レポートは、白血病、悪性リンパ種および多発性骨髄腫に対する診療の現状について、血液内科・腫瘍内科の先生方を対象に調査しその結果をまとめたものです。
    主要な薬剤の処方実態に加え、処方意向や満足度から各薬剤への期待値についてもみています。

    白血病や悪性リンパ種では近年新薬の上市や適応拡大が続いており、これらの処方状況や実臨床への影響が注目されます。多発性骨髄腫においては近年登場した抗体薬の普及度も明らかとなりました。 前述の改訂ガイドラインの遵守状況も調査されており、今日の血液がん診療のありようについて臨床現場での実践に即した情報が凝縮されていると感じます。

    本年は医師調査と患者調査で共通の質問を設定し、医師および患者間での意識ギャップについての興味深い比較分析も行われています。
    なかでも医師による治療説明の内容や質に対する認識に両者間で差があるという調査結果は、私たち医師にとっても重要な課題として受け止めるべきでしょう。
    薬物療法における認識の比較からは、治療を進める上で患者さんと医師が相互理解を深める必要性を改めて再認識いたしました。
    血液がんの患者さんひとりひとりに最適な医療を提供するには、医療従事者と伴走する企業の皆さんの支援が不可欠です。

  • No.0015 OFR肺がん(患者編)

    発刊日:2023年10月25日

    監修医 : 北里大学病院 呼吸器内科 講師 中原善朗 先生

     近年、肺がん領域では新たな治療薬次々と実用化されており、治療選択肢が増える一方で治療が複雑化しています。
    患者さんにとっては、治療薬の効果、医療機関の特徴などに関する情報が多岐にわたり、正確に理解することが難しい状況です。
    また、がん治療の影響から、就労の継続や経済面での問題に不安を抱える患者さんも少なくありません。

     本レポートは、肺がんの薬物療法を経験したことがある患者さん300人を対象に、主治医とのコミュニケーションの状況や治療薬に関する情報収集、治療と就労を両立する上で感じている諸問題、治療・薬剤に関する情報収集、デジタルヘルスの利用状況について調査したデータを解析したものです。

     私自身も日々、肺がん患者さんと接していますが、本レポートは客観的なデータとして患者さんの状況や考えを知ることができ、今後の診療に大いに生かせるものだと思います。
    新たな治療薬の実用化によって患者さんの生存期間が延長することができるようになりましたが、患者さんは必ずしも全員が延命効果の高い治療を希望しているわけではない。
    またステージによって薬物療法に対する不安は異なり、ステージⅠ、Ⅱ期では副作用への不安が最も大きい一方、Ⅲ期では治療期間、Ⅳ期では治療費用への不安が最も大きいことが分かりました。

     肺がんの薬物療法が着実に進展している中で、単に生存期間の延長だけでなく、目の前の患者さんの声に耳を傾け、患者さんが望まれる良質な人生を過ごす時間が延長できるような支援体制を構築するために、本レポートを通じて医療関連企業の皆さまにもご理解、ご協力をいただければ幸いです。

  • No.0014 OFR肺がん(医師編)

    発刊日:2023年10月25日

    監修医 : 北里大学病院 呼吸器内科 講師 中原善朗 先生

     肺がんは日本におけるがん死亡数の第1位となっています。
    (国立研究開発法人国立がん研究センターホームページ: 最新がん統計)
    一方、遺伝子変異に基づく分子標的治療や免疫チェックポイント療法の開発が飛躍的に進歩しており、
    新規薬剤の登場も相次いでいます。
    こうした背景から、近年は肺がん患者さんの生存期間は年単位での改善が認められています。

     本レポートは、呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍内科の先生方を対象に、
    肺がんの実臨床における診療や情報収集の現状を調査しまとめたものです。

     肺がん診療に携わる先生方の情報入手経路、各施設における検査体制や治療の現状など
    非常に示唆に富む結果が示されています。

     医師が治療法を選択する際は、各種のエビデンスを参照する必要があります。
    肺がん治療のさらなる進歩には、いまだ解決すべき課題も多々ありますが、
    医療分野に携わる皆さま方と課題を共有し、それぞれの立場で解決に向け活動していきたいと考えています。

  • No.0013 OFR胃がん(患者編)

    発刊日:2023年7月25日

    監修医 :
    東邦大学大学院 消化器外科学教授・臨床腫瘍学教授 島田 英昭 先生

     近年、胃がん領域では新たな治療薬次々と実用化されており、治療選択肢が増える一方で治療が複雑化しています。
     患者さんにとっては、治療薬の効果、医療機関の特徴などに関する情報が多岐にわたり、正確に理解することが難しい状況です。
     また、がん治療の影響から、就労の継続や経済面での問題に不安を抱える患者さんも少なくありません。
     本レポートは、胃がんの薬物療法を経験したことがある患者さん300人を対象に、主治医とのコミュニケーションの状況や治療薬に関する情報収集、 治療と就労を両立する上で感じている諸問題について調査したデータを主として医師・製薬企業向けに解析したものです。
     本レポートは客観的なデータとして患者さんの状況や考えを知ることができ、今後の診療に大いに生かせるものだと思います。
     また新たな治療薬の実用化によって、患者さんの生存期間が延長するのに伴い、治療と就労の両立は治療継続の上でもますます重要になってきています。
     本レポートでも、精神的不安や就労状況の調整の難しさなど、患者さんは罹患後の就労継続に困難を感じているにもかかわらず、専門的な知識を持つ医療ソーシャルワーカーはほとんど活用されていませんでした。
     最近ではヘルスケアアプリの開発も精力的に行われていますが、本レポートではそれらのアプリの利用率は高くなく、存在することや利用するメリットが分からないといった声が多く見られました。
     がん患者さん向けアプリも登場していますが、その普及には機能の充実以上に広報活動を丁寧かつ継続的に行う必要があると思います。

  • No.0012 OFR胃がん(医師編)

    発刊日:2023年7月25日

    監修医:
    東邦大学大学院 消化器外科学教授・臨床腫瘍学教授 島田 英昭 先生

     胃がんは日本で減少傾向ですが、いまだがん罹患者数、死亡者数の3位を占めています。
     しかし、最近では優れた治療薬の開発により、進行/再発胃がんにおいても高い奏効率が期待できるようになりました。

     近年、胃がんの薬物療法は新規抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬や抗体薬物複合体を含む分子標的薬の実臨床での処方が急増し、長期予後を含めた治療成績が着実に向上しています。
     さらに新たな作用機序を持つ治療薬も承認申請され、よりいっそうの治療成績の向上が期待されます。

     そのような診療環境において、薬物療法の使用状況や情報収集といった胃がん診療に従事している医師の診療実態について、前回( 2022 年)の調査から 1 年が経過したことを受け、実臨床での動向を正確に把握する目的で今回あらためて調査を行いました。

     本レポートは、消化器内科、消化器外科、腫瘍内科の先生方を対象に、現在の胃がんの実臨床における診療実態を調査しまとめたものです。
     胃がん診療に携わる先生方がレジメンの選択・処方につながる情報を入手している経路、各施設におけるチーム医療体制の現状と課題、患者さんとのコミュニケーション状況など、非常に示唆に富む調査結果が示されています。

     これまで、日常診療において薬物治療の有効性と安全性に対する患者さんの率直な意見を聴取・分析する機会がなかったため、本レポートの患者調査の項目から得られる客観的な情報は、今後の診療現場でも非常に有用であると思います。

  • No.0011 OFR泌尿器がん編

    発刊日:2023年3月25日

    監修医 :
    東京新宿メディカルセンター 副院長 赤倉功一郎 先生

     前立腺がんは、近年日本において最も増加しているがんの1つで、2017 年以降は男性がんで罹患者数が第 1 位となっています。
     一方で、新薬の開発も目覚ましく、2014年にイクスタンジ、ザイティガ、ジェブタナが承認されたことで去勢抵抗性前立腺がんの治療は大きく変化し、その後もBRCA1/2遺伝子変異陽性に対するリムパーザが承認され、選択肢も増えました。
     そして今話題になっているのが、転移性ホルモン療法未治療の前立腺がんに対し初めからホルモン療法に新規アンドロゲン受容体標的薬や抗がん薬を併用するアップフロント療法です。
     そのような中、2023 年 2 月に承認されたのが遠隔転移を有する前立腺がんへのニュベクオで、ドセタキセルとの併用によるトリプレット療法の優位性が示されました。
     本調査では泌尿器科、腫瘍内科の先生方を対象に診療や情報収集の実態をお伺いしましたが、前立腺がん治療において今後どのように薬剤選択が変わるのか、先生方のご意向を知る機会となりました。

     一方で患者さんにとって新しい薬剤の登場はメリットばかりではなく、治療費の自己負担増加への懸念も医師としては考えなければならない要素となります。
     実際に患者さんが治療費について医師に本音が言えているのかは手探り状況の中、患者さんの声が定量的なデータとして示されましたので、今後の診療に活用していただければ幸いです。

  • No.0010 OFR血液がん

    発刊日:2022年12月22日

    監修医:
    都立駒込病院 血液内科 医長 名島 悠峰 先生

     高齢者人口の増加に伴い造血器腫瘍の発症率は上昇傾向にあります。
     しかし、造血器腫瘍領域における診断法・治療薬の承認状況は欧米に後れを取っており、 日本の患者さんに対する至適治療の提供にはいまだ課題があると考えられます。
     一方、2022年8月には日本血液学会が「造血器腫瘍における遺伝子パネル検査体制のあり方と その使用指針」を刊行するなど、新たな動きも見えてきています。
     今後、ゲノム医療の環境整備を通じて、遺伝子パネル検査による遺伝子異常の評価が、 確定診断や至適治療の選択につながることが期待されます。
     また、造血器腫瘍領域では新たな分子標的薬、抗体医薬、 CAR T 療法などの上市が続いているが、 患者さんの治療選択肢が増えるという利点だけでなく、副作用の早期発見と対応、精神的フォローと いった点で医療従事者が緊密に連携する必要性が高まっています。
     本レポートは、血液内科、腫瘍内科の先生方を対象に、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の 実臨床における診療や情報収集の実態を調査しまとめたものです。
     チーム医療の現状も明らかにされており、とても参考になるデータでした。
     造血器腫瘍領域におけるチーム医療には疼痛緩和や副作用管理および就労支援に至るまで さまざまな目的がありますが、今後は若年の患者さんの妊孕性温存の取り組みに関しても鍵になる。
     またわれわれ医師は、日常診療において患者さんの考えを定量的なデータとして確認する機会は 必ずしも多くありません。
     本レポートの患者調査では Shared Decision Making の重要性が示されており、 今後の診療に生かしていきたい。

  • No.0009 OFR肺がん編

    発刊日:2022年11月25日

    監修医 :
    北里大学病院 呼吸器内科 講師 中原 善朗 先生

     2021 年の統計によると、肺がんは日本におけるがん死亡数の第 1 位となっています。
     一方、遺伝子変異に基づく分子標的治療や免疫チェックポイント療法の開発が 飛躍的に進歩しており、新規薬剤の登場も相次いでいます。
     こうした背景から、近年は肺がん患者さんの生存期間は年単位での改善が認められています。
     本レポートは、呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍内科の先生方を対象に、肺がんの実臨床に おける診療や情報収集の現状を調査しまとめたものです。
     肺がん診療に携わる先生方の情報入手経路、各施設における検査体制の現状、患者さんとの コミュニケーション状況など、非常に示唆に富む結果が示されています。
     近年、非小細胞肺がん領域ではマルチプレックス解析で一度に多くの遺伝子変異が 検査できるようになりました。
     しかし、本レポートが示すように、遺伝子変異の種類によっては検査を全例に実施することが できていない施設も一定数存在し、治療可能な遺伝子変異の存在が見逃されているなど、 届けられるべき治療が届けられていない可能性が示唆されました。
     新型コロナウイルス感染症の流行以降、医師の情報収集チャネルは変化しつつあり、 本レポートでは新薬の認知・理解において、医療系専門サイトが頻繁に利用されていることが うかがわれました。
     製薬企業の情報提供に関してはレギュレーションが厳しく、多くの医師が情報の量と質に 物足りなさを感じていることを示唆する結果と考えられます。
     しかし、近年、同じ対象に同じようなデザインで同様の治療法を検討し、同様の結果を示した 臨床試験結果が複数発表され、患者さんにとって最適な薬剤を選択しにくい状況にあります。
     こうした状況にあっては、治療法の選択に際し、患者さんのお考え・価値観が重要であると思われます。
     本レポートの患者調査で得られた客観的な情報は、今後の診療に大いに有用であると考えています。

  • No.0008 OFR肝細胞がん編

    発刊日:2022年9月16日

     肝細胞がんは日本でも多くの方が命を落としているがんの一つで、死亡数で5番目に多いがん種となっている。
     日本ではC型肝炎の感染者からの発生例が多くを占めていたが、近年の抗ウイルス治療の普及や新規感染例の激減によりC型肝炎の感染者が減少し、肝細胞がんも減少傾向。
     本調査でも新規発症例に占める非B非C型が42%と半数に迫る割合となっている。
     また、発症原因の違いにより肝細胞がんの薬剤選択に影響があると回答した医師は55%と、薬剤選択への影響がうかがえた。
     調査対象薬剤において認知における情報のタッチポイントではネクサバールを除き、医療系サイトが多かった。
     処方の決め手となるタッチポイントでは国内の診療ガイドライン、学会の講演/発表はいずれの薬剤でも多かったが、テセントリク+アバスチン、ネクサバール、レンビマ、スチバーガでは医師同士の影響も大きかった。
     一方でサイラムザ、カボメティクスでは医師同士よりも医療系専門サイトの方が処方に影響していた。
     また薬剤ごとにキャズムのカテゴリー別に処方の決め手となるタッチポイントを分析している。
     患者調査では、投与された経験のある薬剤としてはレンビマが29%、次いでテセントリク+アバスチン18%だったが、分からないが47%半数近くを占めた。
     薬物療法中の情報収集ができている群とできていない群で情報入手先に大きな違いはなかったが、できていない群では、今後の経過、治療効果・予後など将来的な状態に関する項目が多かった。

  • No.0006_2 OFR乳がん+plus

    発刊日:2022年7月22日

     乳がん領域において2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険適応となり、がんゲノム医療が臨床の現場に導入されて2年が経過したところで、乳がん診療における各種遺伝子検査の実情を調査。
     また、ホルモン陽性転移再発乳がんの1次、2次治療の標準治療となっているCDK4/6阻害薬であるが、ベージニオが術後補助療法に適応拡大され術後補助療法における実情の使用状況と使用の優先度、懸念事項についても聴取した。
     がん遺伝子パネル検査の実施を検討するサブタイプはトリプルネガティブが最も多く、次いでサブタイプでは検討しない、ルミナルB型(HER2⁻)であった。
     また現状の実施タイミングと理想のタイミングを聴取し、今後の遺伝子パネル検査のあり方について考察できる内容となっている。
     またPARP阻害薬のオラパリブが承認された場合(2022年7月時点で)BRCA検査の実施タイミングはどう変化するか聴取し、がんゲノム施設別で分析した。
     検査実施体制として遺伝子パネル検査、BRCA検査ともに患者説明にかかわる医療従事者はがんゲノム施設では多職種の関与がうかがえたものの、検査実施数の増加をカバーしきれる体制なのかは疑問がある。
     特にその他施設においては主治医以外からの説明がほとんど行われていないため、効果が期待できる治療薬が適するタイミングで使用されない懸念も出てくるだろう。
     2021年12月にCDK4/6阻害薬のベージニオが術後補助療法の適応追加し、承認後わずか半年でがんゲノム施設では71%の処方経験があったのに対し、その他施設では29%にとどまった。
     根治手術を実施したホルモン陽性かつHER2陰性に対する術後補助療法としてレジメンの優先順位、併用する内分泌療法など治療実態を把握し、ベージニオに対する懸念事項と今後の対応を考察できる内容となっている。

  • No.0007 OFR胃がん編

    発刊日:2022年6月30日

    監修医 :
    東邦大学大学院 消化器外科学教授・臨床腫瘍学教授 島田 英昭 先生

     胃がんは日本で減少傾向ですが、いまだがん罹患者数、死亡者数の3位を占めています。
     しかし、最近では優れた治療薬の開発により、進行/再発胃がんにおいても高い奏効率が 期待できるようになりました。
     また、治療薬やレジメンの選択肢が増えたことに加え、バイオマーカーや遺伝子検査の開発も 進むなど、胃がん診療を取り巻く環境は大きく変化しています。
     こうした背景の下、胃癌治療ガイドライン作成委員会では、 『 胃癌治療ガイドライン 』 の改訂 に加え、新規薬剤や治療法が承認された際には「速報」としてコメントを発出し、治療適正化の 推進を図っています。
     本レポートは、消化器内科、消化器外科、腫瘍内科の先生方を対象に、現在の胃がんの 実臨床における診療実態を調査しまとめたものです。
     胃がん診療に携わる先生方がレジメンの選択・処方につながる情報を入手している経路、 各施設におけるチーム医療体制の現状と課題、患者さんとのコミュニケーション状況など、 非常に示唆に富む調査結果が示されています。
     本レポートで特に注目されるのは、胃癌治療ガイドラインを「十分に確認している」 「ある程度確認している」と回答した先生が極めて多かった一方、「速報」はガイドラインに 比べて確認されていなかったという点です。
     新薬の承認や適応拡大により標準治療が短期間で次々に変化している現状に鑑みると、 「速報」についてもより多くの先生方に十分確認いただき、日常診療に役立てていただきたい。
     また、医師が治療を選択する際は、エビデンスだけでなく患者さんの治療に対する考え方も 考慮する必要があります。
     これまで、日常診療において薬物治療の有効性と安全性に対する患者さんの率直な意見を 聴取・分析する機会がなかったため、本レポートの患者調査の項目から得られる客観的な情報は、 今後の診療現場でも非常に有用であると思います。

  • No.0006 OFR乳がん編

    発刊日:2022年3月31日

     乳がん患者数は2020年に220万例を超えており、女性による死亡原因の第1位となっている。
     しかし、乳がん医療の進歩は著しく、臨床試験の結果に基づく新薬の開発や適応拡大などが続いている。
     そのような状況の中で乳がん治療薬の治療実態と診療医の情報収集実態を明らかにすべく調査を実施した。
     調査対象とした薬剤においてはいずれも認知度が8割と高く、2021年8月に乳がんの適応拡大をしたキイトルーダは92%とHER2陽性例の標準治療薬であるハーセプチンの98%に対し遜色なかった。
     また、処方経験割合ではCDK4/6阻害薬はハーセプチン、フェソロデックスに次いで高く、キードラッグの1つになっている。
     各薬剤の認知―理解―処方における情報のタッチポイントは同じクラスでも違いがみられ、処方の有無や処方タイミングでの分析も行っている。
     本調査レポートから患者調査を実施しており、患者の情報収集源として主治医とインターネット検索がそれぞれ94%、43%と多くを占めたが、医師とのコミュニケーションの現状と医師調査で得られた患者とのコミュニケーション状況のギャップについて考察した。
     また、乳がんの治療を進める中での悩みや困りごとをステージ別で分析しているが、副作用に関するものはステージにかかわらず多くみられ、薬効の実感や治療に伴う経済的な負担は後期のステージで多くみられた。

  • No.0005 OFR肺がん編

    発刊日:2021年12月25日

     2014年以降に発売された薬剤18剤を調査対象とし、処方経験や処方に至るまでの経路を聴取した。
    処方の決め手となるタッチポイントとして各薬剤での比較ができ、注力している活動が推察できる。
     例えば、NSCLCのドライバー遺伝子変異陽性例では、タブレクタは医局説明会の影響が他の薬剤よりも目立って多かった。
     薬剤ごとにカスタマージャーニーを分析し、明示している。肺がん編は2020年12月にも刊行しており、時系列での変化も確認することができる。
     肺がん領域における普段の情報収集のタッチポイントは医療系専門サイトが認知に重要となっていた。
     特に呼吸器外科では文献やガイドライン、製薬企業主催のWEBセミナーよりも医療系専門サイトの影響が大きかった。
     タッチポイント別の接触時間では医療系サイトが最も長く、次いで製薬企業のWEBセミナー、SNSの順であった。
     SNSに関しては、20~30歳代で最も長く、年齢層が低いほど接触時間が長かった。
     反対に医療系サイトに関しては、50歳代で特に長く、どの年齢層でも一定時間の利用があった。
     情報収集方法はコロナ感染症流行の影響があり、オンライン・非対面が55%、リアル・対面が45%という状況であった。エリアでみると関東と近畿でオンライン・非対面がいずれも60%を超えていた。
     また、医師をキャズム理論のグループ別(4層)に分析している。
     情報収集のタッチポイントの接触時間、新薬および既存薬で不足を感じる情報、理想の情報入手経路、MRおよびMSLに求める資質と活動などをグループごとに明示し、医師のタイプ別に求める特徴をつかむことができ、活動戦略立案の参考としてほしい。

  • No.0004 OFR血液がん編

    発刊日:2021年12月25日

    2015年以降に発売された白血病・悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の薬剤21剤を調査対象とし、処方経験や処方に至るまでの経路を聴取した。処方の決め手となるタッチポイントとして疾患ごとに各薬剤での比較ができ、注力している活動が推察できる。血液がんの領域では、固形がんの各領域とはやや異なる傾向がみられ、薬剤を認知するタッチポイントとしてはほとんどの薬剤で医療系専門サイトよりも海外の文献が多かった。しかし、CAR-T療法のキムリアは医療系専門サイトからの認知が最も多かった。処方に影響するタッチポイントも海外の文献は多かったが、白血病ではカルケンスは製薬企業のWEBセミナー、ゾスパタは同僚医師、ヴァンフリタはMR/MSLとの対面・WEB面談も多かった。悪性リンパ腫では、キムリアは海外の文献と専門医が同じ割合で処方に影響したのに対し、ブレヤンジは海外の文献に次いで医局説明会が影響した。多発性骨髄腫では、ほとんどの薬剤でMR/MSLとの対面形式での面談が処方に影響しており、MR/MSLの活動の活発さがうかがえた。
     専門領域における普段の情報収集においても国内外の文献、国内の診療ガイドラインからは多かったが、接触時間をみると医療系専門サイトが280分/月と最も長かった。情報収集方法としてはコロナ感染症流行の影響が肺がんよりも大きいとみえ、オンライン・非対面が65%、リアル・対面が35%であったが、2021年7月よりもリアル・対面の割合が10%以上増えた。
     また、医師をキャズム理論のグループ別(4層)に分析している。専門領域においてイノベーター+アーリーアダプターは様々なタッチポイントからの情報収集が多いのに対し、非専門の情報だとそもそも入手しない医師が多い傾向がみられるなど、医師をグループ分けした場合の特徴をつかむことができる。情報収集のタッチポイントの接触時間、新薬および既存薬で不足を感じる情報、理想の情報入手経路、MRおよびMSLに求める資質と活動など、医師のタイプ別の活動戦略立案の参考としてほしい。

  • No.0002 OFR腎がん編

    発刊日:2021年3月31日

     腎がんは、40歳以降、特に70歳代で好発するがんであるが、進行しないと自覚症状がでないことが多いため、肺や骨、肝臓、脳に転移したがんが先に見つかり、詳しく検査した結果、腎がんの発見につながることが少なくない。

    しかし、近年、進行がんの治療として数多くの分子標的薬に加え、免疫チェックポイント阻害薬の臨床使用により予後の改善が進んでいる。
     本調査レポートでは、実査時期2021年2月中旬~下旬というコロナ感染症流行期において免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1/抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体)4剤に加え、2020年5月に発売したマルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクスの5剤を調査対象とし、処方経験や処方に至るまでの経路を聴取した。
     調査時点(2021年2月中旬~下旬)で、いずれの薬剤でも認知率は全体で90%を超えていた。
     処方状況に関しては淡明細胞型腎細胞がん(高リスク)の1次治療では、オプジーボ+ヤーボイ、キイトルーダ+インライタで直近での投与症例数が増加した割合がそれぞれ37%と多かった。
     それに対しバベンチオ+インライタは23%とやや下がり、適応追加時期の影響などが推察された。
     また、薬剤ごとに処方に影響した情報のタッチポイントや処方満足度・理由についてカスタマージャーを明示し、薬剤ごとの差異をとらえることができる。
     コロナ禍における腎がんを診療する医師の情報収集については、MRからの情報収集の機会が減少し、情報収集の約7割はオンラインで行われていた。
     しかし、プライマリケア医と比べ対面中心で情報収集する医師が多く、特徴として地方圏のエリアにおいては対面中心の情報収集を継続していた。
     また、情報収集の特徴として、通勤時にスマートフォンを用いている割合が44%とプライマリケア医の35%と比べると多かった。
     情報収集のタッチポイントとしても医療系専門サイトに次ぎ、製薬企業のWEBセミナーとなり、国内外の文献よりも多く時間が割かれていた。さらにwithコロナ時代における製薬会社の情報提供の課題について聴取しており、postコロナ時代の情報提供への考察につなげてほしい。
     本調査レポートの特徴として、医師をキャズム理論のグループ別(4層)に分析している。
     調査対象薬剤の処方経験率、初めて処方する際の情報源、情報への接触時間とタイミングに加え、腎がんのKOL、情報収集している専門誌についても分析しており、ターゲット医師への効果的なアプローチ方法・内容の検討に活用してほしい。

  • No.0003 OFR血液がん編

    発刊日:2021年7月31日
  • No.0001 OFR肺がん編

    発刊日:2021年3月31日

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